COMMENT
戦争は商売。その商売の邪魔をするやつはどうなるか。
ケン・ローチの視点は相変わらず鋭い。
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
営利のためなら殺人行為もいとわない民間軍事会社。
その実態に迫ったケン・ローチ監督の秀作だ。
山路徹(ジャーナリスト・APF通信社代表)
どれだけの民間兵が無実のイラク人の命を奪ったことか。
これは戦争民営化の偽らざる現実を描いた労作だ。
菅原 出(国際政治アナリスト)
イラク戦争の救いようのない闇を見聞きしたイラクの現場に引き戻されるような感覚にさせられた。
安田純平(ジャーナリスト)
私はイラクやアフガンを毎年訪問して、現地を取材していますが、米軍の代わりに急増しているのが、「民間軍事会社」です。11年2月、アフガンの首都カブールに2週間滞在しましたが、2回の自爆テロがありました。現場へ急行すると、すでに民間軍事会社の兵士たちがやって来ていて、アフガン軍や警察官に指示を出していました。現場は、国連関係者や外国人、アフガン富裕層が利用する高級デパートでした。デパートの窓ガラスが粉々になっていて、自爆テロ犯人の頭が転がっており、身体の一部が肉片になって、数十m先の道路に落ちていました。犯人を含む犠牲者の遺体の処理や、2次爆発の警戒、そして野次馬群衆の整理、誘導などを民間軍事会社の兵士たちが陣頭指揮するのです。
その取材を始めて20分ほどしてから、米軍兵士4名がやって来ました。つまりテロや銃撃戦などの非常事態が起こったら、まず駆けつけるのが、民間軍事会社であり、米軍やISAF軍は、「安全を確認してから」やって来るのです。
これはイラクでも同じこと。つまりイラクやアフガンから米軍が撤退しても、民間軍事会社は、そのまま居残って、「任務」をこなしていくのです。その背後には、ビッグマネーがあります。民間軍事会社は、今や、イラク軍、アフガン軍への戦闘指導、作戦の企画立案、米軍への兵站補給、要人やジャーナリストの護衛などを通じて、空前のボロ儲けをしています。
08年3月に北イラクへ行き、イギリス資本の民間軍事会社を取材しました。兵士は元ニュージーランド軍の白人兵で、「全ては金さ」と言っていました。ちなみに料金は、私の護衛で兵士1人につき、一日7万円。北イラクからバグダッドに行くとすると、防弾車の手配、バグダッドでの危険手当などを含めて、1日50万円くらいの相場でした。これはおそらく政府高官などのハイクラス要人となれば1日100万円単位で請求すると思います。
ハイリスク、ハイリターン。そんな中で、兵士も殺されるし、無事任務を遂行しても、PTSDなどの精神疾患に冒される可能性が大きいです。
『ルート・アイリッシュ』は、そうした現実を目の前に突きつけてくれます。イラク戦争もアフガン戦争も、米軍が撤退したからといって、終結しません。ぜひこの映画をご覧いただき、戦争の裏にある利権の構造などにも注目いただければと思います。
西谷文和(ジャーナリスト)
知らないでは済まされない戦争の真実。私たちは当事者でもある。
(53歳 男性)
今の戦争の有り様を知らせる映画として素晴らしいと思います。色々な人に見てもらいたい。
(50歳 女性)
日本のメディアでは全く取り上げない問題なので、日本で公開する意義は深いと思う。
(23歳 男性)
何も知らない自分が恥ずかしかったです。同世代の人たちにもぜひ見てもらい、いろいろ考えて欲しいです。
(19歳 女性)
戦争の悲惨さがよくわかった。『ハートロッカー』を超える衝撃。
(28歳 男性)
戦争から遠い生活をしているので、リアルに西洋で起きていることを見ることができてよかった。
(37歳 女性)
こんなことが氷山の一角だと思うと恐ろしい。
(30歳 男性)
平和な日本に住んでいる自分とは関係がないと思ってしまうかも知れないが、実は自分たちの身にも起こりうる話ではないかと思った。誰でも一度は見ておいた方がよい映画だと思う。